あぁ、涙の帰郷

02.10.17

これほど人の心を揺さぶるものなのか。
人の絆、親子、兄弟の絆。
なにか近年の日本で希薄になってきていた感情が奮い起こされた
ような光景だった。
ひと月前、こわばった表情で平壌の空港に小泉首相が降り立った。
以後連日拉致問題が報道され、つぎつぎと状況が変わった。
パンドラの箱が開けられたかのようだ。
そんな中での5人の帰郷。

24年前中央大学3年在学中に拉致されたという、蓮池薫さん。
私も24年前中央大学3年だった。食堂のどこかですれ違っていたかも
しれない。
兄の透さんは家族会の事務局という責任感からか、あるいは
その使命感からか、15日の帰国当初から薫さんへ真実を
問いただす姿勢がうかがえる。
薫さんは意志の固そうな、なにか確固としたものを感じる。
それがどういう方向に向かうのか。
一方、この日北朝鮮の核開発を認める報道があった。
この5人が北朝鮮国内では知りえない情報をどう受け取るのか。
なにを感じるのか。
5人を帰国させた北朝鮮。ここまではなにか北朝鮮のペースでシナリオ
が進んできていたかのようだったが、そうはいかない状況になる
気がする。
感動の帰郷だが、その背中にはとてつもなく重いものを背負わされている。
平和ぼけしている日本。だがその国際(くにぎわ)ではとても厳しい現実
が存在している。

とにもかくにもこの日ばかりは日本中が泣きました。