2.「入院生活」

99.11.12

過去何度か入院の経験はあるが、もうずいぶん昔の話し。A病院は改築
5年の新しい病院。昔の病院のイメージとはだいぶ違う。各ベッドにTVが
ついている。もっともカード式で他の人もいるのであまり見ている人はいない。
主治医はYK女医。頭にかぶっている治療観察用の器具がかっこいい。
耳が聞こえないとはどういう感じか。飛行機などで気圧が急に変わった時
ツーンとなって圧迫感を感じ聞こえにくくなるが、それが極端になった感じ。
最初の朝はキーンと激しい耳鳴り。ちょうどTVが放送終了後テスト電
波を流しているよう。強い閉そく感、圧迫感、めまい。左しか聞こえない
ので、音のする方角がわからない。僕の場合最初の聴力検査では最悪
で、まったく聞こえなかった。ほとんどの聴神経がやられていた。一刻も
早い治療が必要だった。治療の方法はステロイド剤点滴治療と星状神経
節ブロックという首への注射。耳の後ろを切開するとか、頭蓋骨に穴を空
けるとか、ぶっそうなことにならず、ほっとする。治療が始まってから看護
婦さんに「どうですか」と聞かれると、快方の自覚症状がないので少しあ
せる。しかし、治療開始最初の検査では数値が上がっていた。YK先生も
最初の検査の数値が非常に大事とおっしゃった。ここで復活の兆しがな
いとそのままになる可能性が高い。どこまで回復するかわからないが、
その可能性はあるとのこと。少しほっとした。ちなみに左耳の聴力は人
並み以上、ばつぐんの感度なのです。二日目からの耳鳴りはキーンと
激しい音ではなくなり風の音、ジェット機の音、寄せては返す波の音、
雨の国道をヘッドライトが行き交う音に変わりました。


病院の食事
この手の食事はわりと好きだ。うまいから好きというわけではない。
学校の給食とか、禅寺の精進料理とか、よけいなもの、味付け、必要以
上のカロリーをそぎおとしたピュアな食事というイメージが好感を持てる。
せっかくのチャンス、半月間、酒も飲まず、タバコも吸わず、余分な水分
もとらず、ピュアな食事で体をリフレッシュしよう。


病室
6人部屋に4人。60代、70代、80代と高齢者だ。僕と70代の老人が
窓側で60代と80代が通路側。中の2つは空いている。向かいの70代
の老人は現在生活保護を受けている。浅草の山谷地区の簡易ホテル
で倒れて搬送された。社会的な弱者であるがとても素直で好感がもてる。
退院後家で着なくなった古着を持っていった。大変喜んで受け取ってくれた。
みんないろんな人生を経て今日この病室でそれぞれの病気と闘っている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・つづく