4.「人生は塞翁が馬のごとし

99.11.15

病院の最後の夜。夜中目がさめる。その後あえて眠ろうとせず
ベッドから星空を見ている。オリオン座が見える。その左下にひときわ
明るく、青白く輝く星。 「シリウス」 私の記憶が正しければ太陽系外
の全宇宙でもっとも明るい星 、超一等星、スーパースター、
何度も言ってみる。「シリウス・シリウス・・」 「シリ」と「ウス」離して
言うとダサイ。 「シリウス・シリウス・・」 なんとファンタスティックな
名前だろう。 幸運の星よ・・・
星に願いを。


14日目。退院の日が来た。昨日よりわずかながら回復の自覚症状
はあるものの、残念ながら入院期間中に聴力の復活は果たされな
かった。失ったものは大きいがこの2週間は良い経験となった。
(と思うことにしよう。)妻は良く仕事をこなしてくれた。娘も良くサポート
してくれた。母も良く接客をしてくれた。みんなでこの半月を乗り越えた。
感謝します。そして、まだ回復の可能性が多少なりある以上、あきらめ
てはいないのです。


「人間は万事塞翁が馬」 高校生のころからこの中国春秋時代の故事
が好きだった。かつて逆境に陥った時よく思い出していた。
大歴史家 ”司馬遷” は宮刑を受刑した後不滅の文化遺産「史記」を書いた。
自分の人生はまだ長い。支えてくれる家族がいる。支えなくてはならない
家族がいる。
「人生は塞翁が馬のごとし」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・完